耳コピのコツ:音を採譜するための具体的な手順とやり方

音を聴いて、楽器の演奏や楽譜に再現することを『耳コピ』といいます。

近年はDTM、DAWに落とし込むのが流行っていますね。

 

耳コピは『聴音』と呼ばれるソルフェージュ、基礎訓練の一種です。

音楽を分析・理解するのに最適で、作曲や編曲能力を伸ばす非常によい練習となります。

身につけば、楽譜のない曲もサラッと採譜して演奏できるようになり、プレイヤーとしての幅も広がることでしょう。

一方、その重要性を理解していても、難易度の高さゆえに匙をなげる人が多いのも事実です。

 

この記事は、これから耳コピに挑戦するあなたへ、私が行ってきた具体的な耳コピ手順と方法を紹介します。

耳コピ手法の一つとして、参考にしてください。

音楽の3要素

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音楽は3つの要素、『メロディ』『ハーモニー』『リズム』で成り立っています。

要素内容各要素を担当する楽器の例
メロディ(旋律)音の高さが変化しながら進行するボーカル、ピアノ
ハーモニー(和声)異なる高さの音が重なり、変化しながら進行するピアノ、ベース、コーラス
リズム(律動)一定のパターンで音が刻まれて進行するベース、ドラム

 

音楽を理解しやすくするために、偉い人が3つの要素に分けました。

実際は、メロディを形成するうえでリズムは必要不可欠ですし、ハーモニーはメロディと調和しながら変化するもので、それぞれ密接な関わりを持っています。

耳コピーはこれら3要素を分析・明確にする作業ともいえるでしょう。

耳コピーに必要なもの

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耳コピに必要なものは次の3つです。

  • コピーしたい曲の音源
  • 音程を確認するための楽器
  • 音を採譜するための道具・ソフト

音源はパソコンやスマートフォンで再生できる音声が良いでしょう。

理由は、便利な再生ソフトがあるからです。

ピッチ(音の高さ)をそのままに曲の速度を変更したり、ループ再生できる機能が付いたアプリケーションを使えば、耳コピの効率が上がります。

耳コピに便利な再生ソフトはこちら

 

次に楽器。

音が確認できればOKですが、広い音域をカバーしている楽器は使いやすいです。

低音から高音まで鳴らせるピアノやシンセサイザー、DAWソフト、仮想キーボードあたりがおすすめです。

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最後に採譜道具。

やはりDAWを使うのが一番簡単で作業が捗ります。

CubaseやMuseScoreのように、楽譜として記録・確認できるソフトであればなお良いでしょう。

MuseScoreについてはこちらの記事をどうぞ

 

耳コピ作業のながれ

曲を短いフレーズ、およそ1~4小節ごとに区切って進めます。

口ずさみながら楽器を鳴らし、音程とリズムを確認します。

DAWソフトなどで音を配置し、間違っていたら修正、問題なければ次のフレーズの採譜を繰り返します。

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どの要素・パートから耳コピすべきか

あなたの好きな楽器からはじめればOKですが、私は次の順番で行います。

  1. メロディーパートをまずコピー
  2. 和音のルート音(ベース)をコピー
  3. 和音のコピー
  4. ドラム・他のパートをコピー

メロディは最初にやるのがおすすめです。

なぜなら、メロディの採譜で調(キー)が分かるので、他のパートの音程をコピーし易くなるからです。

私は和音の聞き取りが苦手なので、行き詰ったときは後回しにし、ドラムを先にコピーすることもあります。

 

それでは次に、各要素の耳コピ手順と重視すべきポイントを解説します。

メロディをコピーする

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メロディは印象に残りやすく、判別も簡単なので、耳コピの入り口としておすすめです。

メロディーをコピーすることで次のことが分かります。

  • メロディーの音程とリズム
  • テンポと拍子
  • 調(キー)

調(キー)を解明する

特定の音を主役(主音)として、主役の特徴に合った特定の音階が形成されます。

それを調とよび、楽譜上では調号を使って表します。

例えばこれはホ長調(E Major)、あるいは嬰ニ短調(D♯ Minor)です。

調号

 

耳コピの話にもどります。

ハ長調を基準にメロディを採譜していくと、特定の音が常に半音高い(or低い)場合があります。

例えばシとミが常に半音低いことに気が付いたとします。

そのとき、その曲はシ♭を主音とした変ロ長調だということが分かるはずです。

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曲の調が判明することでどういうメリットがあるかというと、他のパートを耳コピするときに、音をある程度推測することができます。

メロディを採譜し、テンポと拍子、調が判別できたら次のパートを耳コピしていきます。

 

ハーモニー(和音)をコピーする

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耳コピ最大の難関は和音の聞き取りです。

付け焼刃では難しいですが、ここで述べる方法である程度の予測を立てることができます。

 

和音のルート音である『ベース』の音を拾う

ベースは和音の根音、ルート音を奏でることが多いので、ベースの音が分かれば和音の予測が容易になります。

また、ベースは基本的に単音なので聞き取りやすい部類に入ります。

注意しなければならないのは、スピーカーやヘッドホンによってはベースの周波数帯域を上手く再生できない場合があること。

ベースの周波数はおよそ40~300Hz、弦を弾いた時のアタック音は1.5~2.0kHzなので、その帯域がしっかり再生できる機材とソフトを使うのがポイントになります。

再生ソフトで300Hz以上をカットするなどして、音を判別しやすくするのも手です。

メロディとベースから和音を推測する

他のパートと同様、実際に和音を奏でているパートの音を聴き、楽器を鳴らしながら音程を確認しますが、メロディとベースから予測できる場合があります。

和音はメロディとベース、両方の音を含んでいることが多いからです。

コード理論から推測する

コードは和音の構成を記号化したものです。

コードの種類や進行など、理論を知っておくと耳コピの助けになります。

コードの種類

『Triad:トライアド』

3つの音で構成される和音です。

ルートと3度、5度を組み合わせた和音をトライアドといいます。

一つのルート音に対して4種類あります。

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ルート+長3度+完全5度ならメジャートライアド

ルート+短3度+完全5度ならマイナートライアド

ルート+長3度+増5度ならオーギュメント

ルート+短3度+減5度ならディミニッシュ

となります。

 

長3度や増5度がなんのことか分からないかもしれません。

それをここで説明するの大変なので、別の記事で紹介しましょう。

 

『7th:セブンスコード』

トライアドに7度の音を加え、計4つの音で構成される和音です。

一つのルート音に対して7種類のコードがあります。

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『6th:シックスコード』

7度の代わりに6度を加えたコードです。

メジャートライアドに完全6度を加えたメジャーシックスコード。

マイナートライアドに完全6度を加えたマイナーシックスコードの2種あります。

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『sus4:サスフォー』

トライアドでいうところの3度を4度に置き換えた和音です。

短7度を加えたセブンスサスフォーもよく使われるコードです。

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『Voicing Chords:転回形』

音の構成音は同じに、ルート音以外の3度や5度が一番低い音になるコードを『和音の転回形』と呼びます。

音の広がり方や響き方が変わりますが、和音としての性質は同じです。

こちらの画像はドミソシのCメジャー7thを転回し、ソシドミの和音に転回した例です。

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コードに関する理論は他にも多くあるのですが、膨大な量になるので、それはまた別の機会にしましょう。

とにもかくにも、これらの理論を知ることで、新たな気付きを得られるはずです。

これらの理論と並行し、『聴音』のソルフェージュを学んで音感を鍛えることが、和音聞き取りのコツになります。

 

リズムをコピーする

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メロディとハーモニーをコピーしたら、次は曲全体のリズムを強調・味付けするパートを耳コピします。

コンガやタンバリンなど、リズムに関与する楽器は多くありますが、ここでは主にドラムの聞き取り方について解説します。

ドラムを聞き取る

ドラムを聞き取るには、ドラムがどういう楽器なのかを知っておくことが必要です。

ドラムについてはこちらの記事を参照ください。

バスドラム:B.D.

全体を通し、一定のパターンで鳴っていることが多いです。

他には、シンバルと一緒にアクセントとして用いたりします。

ハイハット:H.H.

バスドラムと同様、全体を通して一定のリズムで鳴っていることが多いです。

たまにハイハットオープンが混ざることもあります。

ライドシンバル:Ride Cym.

これも全体を通して一定のパターンであることが多いです。

Ride Cupと呼ばれる、甲高い音がなる部分をアクセントとして使うことがあります。

クラッシュシンバル:Clash Cym.

シンバルはフレーズの節目やソロ、フィルインの際にアクセントとして使われます。

サステイン(残響音)が長いので、聞き分けるときはその点に注意するといいでしょう。

スネアドラム:S.D.

ドラムセットの顔とも言うべき音色で判別しやすいですが、ソロやフィルインでは細かく演奏していることもあり、難しい点もあります。

タムタム:TomToms

フィルインやソロなどに、アクセントとして使われます。

スネアと違って響き線が無いので、済んだ音がします。

フロアタムはバスドラムと混同しやすいですが、サステインの長さや音が入ったタイミング(フィルインかどうか)などを考慮して判別します。

ドラムセット全体:Drumset

ドラムセット全体ではこのような感じになります。

そのほかにも、ドラムの演奏理論を知るとコピーが容易になるので、興味があったら『ルーディメンツ』や『ゴーストノート』などのキーワードで是非調べてみてください。

 

音感を鍛える

私は絶対音感はなく、相対的な音感も鋭いほうではありません。

それでもなんとか、四苦八苦しながら、音を拾うにはどうすればいいのかを試行錯誤してきました。

絶対音感は子供の間にしか形成されないと世間では言われています。

しかし大人であっても音感は鍛えることができます。

 

こちらは相対音感を鍛えるレッスンを盛り込んだ本です。

 

音声データをパソコンやスマートフォンに取り込み、電車の中などで練習できるためおすすめです。

練習メニューは具体的、理論も交えて記載されているので、スムーズに音感を身につけることができます。

こういったトレーニングは演奏や作曲の助けにもなるので積極的に行いましょう。

 

教えてもらう、協力して耳コピする

耳コピが積んだときは得意な人に訊いてみましょう。

例えば吹奏楽の知り合いや、音楽の先生などです。

音楽サークルやバンドを組んでいるなら、それぞれ担当している得意な楽器の耳コピをお願いしてみるのも手です。

 

音楽教室に通ってソルフェージュを習うというのは王道かもしれません。

お金は掛かりますが、指導者の元でなら独学よりも速く、確実に身に付くからです。

さらに教室に通っている生徒と仲良くなれば、あなたの音楽ライフはより充実したものになるでしょう。

 

 

とにかくやってみること

耳コピ処女作品の出来が『これはひどい』と笑われた少年が、数年後にはすごい音楽家になっていた。

そんな話をご存知ですか?

ネット上では「黒魔」と名乗っており、現在は音楽家として活動しているそうです。

その黒魔さんが『ひどい』といわれた耳コピ作品がこちらです。

 

数年後にはアレンジができるようになり、カービィの『そらをこえていくたび』は高評価を受けました。

 

こちらの動画は上京したときに作ったオリジナル曲だそうです。

 

黒魔さんはこのレベルに到達するまで多くの練習をつみ、年に100曲作ったこともあったそうです。

最初はへたっぴでも、好きなことなら、続ければ上達する。

なんだか勇気が湧いてきますよね。

くじけそうになったら、このエピソードを思い出してください。

まとめ

耳コピを達成するための具体的な手順と方法をまとめました。

慣れるまでは大変ですが、これに取り組めばあなたの才能は驚くほど成長するはずです。

この記事を参考に是非、挑戦してみてください。

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