
音を出力する機材のなかで、大半の人はスピーカーを思い浮かべるのではないでしょうか。
エレキギターなどの楽器を演奏している方は、アンプかもしれません。
突然ですが、あなたの家に防音室はありますか?
防音が施されていない家で音響機器を使う場合、一緒に暮らす家族に気を使ってしまい、音を出すことに少なからず抵抗があるでしょう。
集合住宅など、アパートでの使用は難しいのが現状です。
そのような日本の悩ましい住宅事情に加え、お金のない私たちDTM初心者に残された選択肢はたった一つ。
ヘッドホンを導入することです。
この記事では、これからDTMを始める初心者の方にむけて、モニターヘッドホンの役割と選定ポイント、そしておすすめのヘッドホンを紹介します。
記事内目次
ヘッドホンの種類
モニターヘッドホンがどういう立ち位置のものなのか、分かりやすくするために、ヘッドホンの種類についてまずお話しておきます。
ヘッドホンは構造によって分ける場合と、用途によって分ける場合の2種類があります。
密閉型とは
音が外部に漏れないように、さらには外部からの音が混ざらないように、スピーカーを密閉させた構造をもつタイプです。
遮音性が高いので、集中して音楽を聞いたり、音作りをするのに向いています。
低音も鳴りやすいです。
一方、ユニット内で音がごちゃ混ぜになるので、音質が濁りやすい傾向があります。
ロックやポップ、アニソンやボカロなど、元気なサウンドに適しています。
開放型とは
スピーカーを固定・保護する部品が金属メッシュなどでできており、スピーカーの音が外にも少し漏れる構造になっています。
映画館など、まるで広い空間で聴いているようなクリアな音質が得られます。
欠点は遮音性が低いこと。
洗濯機を回す音などの生活音が耳についてしまうことがあります。
また、低音が少し弱めです。
ジャズやクラシックなどのアコースティックな音色の再現に適しています。
リスニングヘッドホンとは
映画を観たり、音楽を心地よく聴くために手が施された、観賞用のヘッドホンです。
耳障りなノイズを排除するよう調整されていて、味付けがされたような音色になります。
長時間の装着でも疲れないように、フィット感や重量など、考慮して設計されています。
モニターヘッドホンとは
原音を忠実に再現することを目的としたヘッドホンです。
音割れや細かなノイズ、音の歪みなどを判別しやすい設計がされています。
モニターとは、『監視・監査するもの』という意味の英語です。
とどのつまり、モニターヘッドホンは『音をチェックする』ための道具というわけです。
DTMでモニターヘッドホンを使う理由
photo credit: Man with Headphones via photopin (license)
私たちは様々な環境で音楽を聴きますよね。
家で音楽を聞く場合を例に挙げても、パソコンにイヤホンを挿して聞く場合やスマートフォンをBluetooth接続したスピーカーで聞く場合、高級オーディオで聞く方もいるでしょう。
クリエイター側はそのような千差万別のリスニング環境に対応できるよう、音作りをする必要があります。
そのために、原音を忠実に再現できるモニターヘッドホンが必要になるわけです。
原音レベルで良い音楽を作りこむことができれば、どの機材で聴いても良い音楽。という寸法です。
モニターヘッドホン選びのたった一つのポイント
ここまで、モニターヘッドホンの役割について説明してきました。
それでは、実際どのようなモニターヘッドホンを使うべきなのか。
考慮すべきは次の一点です。
- フラットなサウンド
つまり、高域から低域まで全体がまんべんなく聴こえるヘッドホン。
この条件を満たし、かつ低価格帯のおすすめのヘッドホン3点を紹介します。
世界的シェアを誇る音響機器メーカーのヘッドホンAKG K77
音楽の都、オーストリアのウィーンで設立された音響機器メーカーAKGのエントリーモデルです。
5000円台で手に入る高いコストパフォーマンスと付け心地のよさが魅力。
セルフ・アジャスティングと呼ばれるバンドを使用していて、使用者の頭の形にフィットする、最適な装着感でリスニングできます。
この上位機種であるK240MK2は世界標準ともいえるモニターヘッドホンで音質も◎。
お金に余裕があればそちらの購入を検討するのもよいでしょう。
初心者に優しいエントリーモデル!audio-technica ATH-M20x
audio-technicaの新しいモニターヘッドフォンです。
価格が5000円程度と安い割りに非常に評判がよく、アマゾンのモニターヘッドホン部門、ベストセラー1位に君臨しています。(2015年10月17日現在)
ステレオミニプラグφ3.5mmの変換プラグがついている点も地味に優しい。
軽くて装着感もよく、長時間の使用でも問題ないでしょう。
これからDTMを始める方におすすめです。
日本の音楽業界スタンダードの鉄板ヘッドホン!SONY MDR-CD900ST
元々スタジオで使うことを目的に開発され、業務用として販売されてから多くの現場で使われるようになりました。
レコーディングスタジオでは必ず置いてあるとまで言われる、業界スタンダードのヘッドフォンです。
その存在が一般のDTMユーザーにも知られるようになり、アマゾンのレビューは200件を超えるレベルに。
プロからアマチュアまで、広く愛用されるモニターヘッドホンです。
まとめ
いかがでしょう。
モニター用のヘッドホンの役割と選定ポイント、そして初心者におすすめの機種を紹介しました。
モニターヘッドホンを使い、適切な製作環境で作った音楽は、どのような再生環境でも曲のイメージを壊すことなく再生できます。
できるだけ低価格で購入できるものを選定しましたが、余裕があれば、業界標準で使われているMDR-CD900STやK240MK2は、音質も非常に良いのでこの機会に検討してみてください。